高齢者の歯科治療

10. 要支援レベル1~2位の段階で、介護予防と同じ認識で摂食嚥下障害の「予防」を行う必要性がある。

    摂食嚥下障害の予防
    要支援レベル1~2くらいだと歯科医院への通院は可能でると思います。その段階で、介護予防と同じ認識で摂食嚥下障害の「予防」を行う必要性があるのではないかと強く感じます。通院できる患者様であっても、摂食嚥下障害の兆候は感じることができます。

    例えば、歯科医院で治療中に横になった状態で治療を行うとむせる人がいます。これは70歳前後の男性に多く見られる症状です。この年代の男性の喉頭は軟骨から骨化して重くなっていき、筋肉が劣化し緩みます。その結果、喉頭蓋の閉鎖がスムーズにできずにむせるようになり、嚥下障害が起こりやすくなります。

    女性の場合、もともと喉頭が小さいため、高齢者になっても骨化の影響が少なく、この症状はあまり見られません。特に、患者さんの鼻がつまりやすい冬期などは、歯科治療で口腔内に溜まった水を吸引した後、少量残った水を飲み込んだときに誤嚥してむせてしまうことがあります。

    診療中に患者さんのこのような状況に気づいたら、普段からむせやすいかどうかを確認し、むせ易い場合は、呼吸路の安全性を確保するために、普段の生活での姿勢を「三点セット」つまり「足底接地」「姿勢保持」「軽度うなずき嚥下」が必要であることを指導し、誤嚥予防を促すようにすることが大切と思います。

    つまり、イスに座って床に足底をつける・座ったら足底の前後位置を膝より内側に引く・背中をまっすぐにする。そして、腰を伸ばすようにバスタオルを腰の位置に入れる。食べる時はきちんと茶碗を持つようにする。軽くうなずいて飲み込む。このように、とても定型的な指導で良いと思います。

    これは、歯科医院でもアドバイスしやすい内容だと思います。そのような事柄を記載した簡単なリーフレットを作って患者様に手渡すなども、誤嚥予防に効果的と思います。

    また、メイテナンスを行っている歯科医院では、歯科医師よりも歯科衛生士のほうが定期的に患者さんの状態を把握できるかと思います。PMTC時などに「患者さんがよくむせるようになってきた」と感じたら、患者様に嚥下について聞く姿勢が必要です。これについては、あらかじめ質問項目の準備をした共有しておくと良いと思います。

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    武内 光晴

    武内 光晴

    武内デンタルクリニック 院長 歯科医師

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