歯とお口と健康

唾液細菌叢の菌種組成の変動

    メタゲノム解析の研究において、規則正しい生活を送る健康な男女6人を対象とし、その人達の唾液を4時間ごと(0時、4時、8時、12時、16時、20時)に3日間採取し、その唾液中の細菌叢DNAを解析し、2種類のデータ(細菌解析、遺伝子・機能解析)を収集するという実験です。

    まず、唾液細菌叢の菌種組成(門レベル)の3日間の変動を確認したところ、6人とも菌種組成の変動が毎日繰り返されていました。そして、その周期は24時間でした。唾液細菌叢は24時間周期の概日リズムを持っていることが判明しました。

    さらに、属レベルでの菌種の変動を解析してみると、個人差はあるものの、全体の7~9割の細菌が概日リズムを持っており、ストレプトコッカスやプレボテラといった優勢細菌の大部分が24時間で増減していることもわかりました。

    ただし、菌種によって増減の時間帯は異なり、プレボテラは早朝から正午にかけて、ロチアは正午から真夜中にかけて、ストレプトコッカスやガメラは夕方から早朝にかけて増えていました。なかには、増減の時間帯が人によって異なる菌種(ベイロネラなど)が存在することも判明しました。

    一方、細菌の表現型によっても増減する時間帯は違っていました。細菌を好気性菌、偏性嫌気性菌、通性嫌気性菌の3種類に分類し、概日リズムのパターンを確認してみると、好気性菌は12時、偏性嫌気性菌は0時、通性嫌気性菌時は8時をピークにそれぞれ増殖していました。

    つまり、好気性菌と嫌気性菌の増減パターンは昼間と夜間で入れ替わっていたということです。これは、口腔内の酸素量が昼間の活動中よりも夜間の就寝中に減少することを示しています。

    また、細菌をグラム染色性で分類してみると、グラム陽性菌は夜間に、グラム陰性菌は昼間に増えることもわかりました。

    武内 光晴

    武内 光晴

    恵比寿の歯科医院(歯医者)、武内デンタルクリニック 院長。

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