インプラント

5. インプラント治療の増加に伴って新たな歯科疾患とした急増するインプラント周囲炎

    インプラント周囲炎への対策
    インプラント周囲炎の症状は歯周病と非常に似通っていることから、歯周病を有する患者さんのインプラント治療の施術は中止を常に視野において考えるべきものと思います。

    歯周病とインプラント周囲炎の関連は、文献的にも少しずつ整理されてきています。2013年に開催されたITI(※)コンセンサス会議では、歯周炎患者に対するインプラント治療のガイドラインも具体的にしめされたものの、これを100%全て当てはめて施術に臨むことは注意を要するものと考えています。

    特に基調として考えているのは、いわゆるプラークスコアが20%以下になるように、プラークコントロールを徹底します。また、口腔内だけにとどまらず、この全身的なリスク改善も重要な要素となります。

    究極のインプラント周囲炎の予防は言うまでも無く、インプラントを埋入しない(インプラントを施術しない)ことで、できる限り天然の歯を保存(残す)ことに繋がります。一つの基準として4mm以上の歯周ポケットを口腔内から無くすことを目標とし、その結果によってはインプラント治療を希望している患者さんに対して施術を行わないケースもあり得ます。

    また、全身的なリスク排除で積極的に取り組むべきは「禁煙」です。喫煙は口腔内環境に対するリスクが明らかに高く、歯周病患者に対しては、歯周病治療と並行して禁煙プログラムを組むことも必要と考えます。

    必要があれば、患者さんの主治医などともコンタクトをとり、糖尿病対策も取り入れ対応する場合もあろうかと思います。歯周病と糖尿病に相互関係があるのであれば、インプラント周囲炎との関係も明らかであると考えます。

    当院では、開業当初より「抜かずに残す」をモットーとした治療を行っているため、実際のインプラント施術はほとんど行われずに済むケースが多くあります。他院で抜歯宣言された歯でもかなりの高率で保存することに成功しており、その後の経過についても長期間にわたり良好な状態=快適な食生活を送って頂いています。

    ここで例に挙げているケースは、初診時に既にインプラントが埋入され、インプラント周囲炎を併発しているものを表しています。

    ※インプラント歯学において議論の余地が残されたトレンドに対し、専門家が現像するエビデンスを評価し、推奨される治療法を検討する国際会議。5年間隔で開催される。

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    武内 光晴

    武内 光晴

    武内デンタルクリニック 院長 歯科医師

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