昨今、高齢者の方でも健康で自立した生活を送っていらっしゃる患者様は増えていますが、何らかのケアを必要とする患者様の絶対数も急激に増加しています。
訪問歯科診療では、虫歯や歯周病の治療、義歯の修復・調整、口腔内清掃など行いますが、「食支援」の分野の診療も求められています。
食物から栄養を摂取する為には、健康な歯である事は勿論ですが、舌・唾液・咀嚼・嚥下と言った機能も重要な要素となります。栄養が不足すれば痩せ、筋力が低下し、嚥下能力の低下につなり、最終的には誤嚥性肺炎をはじめとする様々な病気へとつながってしまいます。
在宅や施設を訪問した際に患者様の口腔内を見てみると、歯垢で歯がびっしりと覆われている状態の患者様が多くいらっしゃいますが、その時点での問題が解決すると訪問歯科診療が終了してしまう事が多いのが現状です。
高齢化が進むなかで国民の健康を支える為には、医療職、介護職のご理解と協力が不可欠です。ご家族様や施設スタッフの方々には口腔ケアの重要性とその方法などもお伝え致しますので、歯科医師・歯科衛生士による定期的な訪問での口腔ケアの継続を是非ご検討下さい。
「噛む」という動作は筋肉・神経・血液の働きを活発にさせる事から、認知症の予防にもつながります。