歯周病のあらまし

歯周病三大要因

歯周病は歯周三大要因(細菌 体の免疫力、環境)の相互作用で起こる病気です。

3つの要因が複雑に絡み合う

歯周病は日本人の8割が罹患

歯周病は日本人の8割が罹患していると言われ、その症状は決して同じではなく、実に様々な病態があります。

その中でも急激に歯周病が進行してしまう患者様は、歯周三大要因である細菌・体の免疫力・環境の相互作用にとても敏感に反応するタイプだと考えられています。

【細菌】
歯周病を引き起こすとされている細菌は、アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス(A.A菌)、プロフィロモナス・ジンジバリス(P.G菌)、プレボテーラ・インテルメディア(P.I菌)、スピロヘータなどがあり、これらを歯周病菌と称します。

歯周病菌は空気を嫌う性質があるので、歯と歯ぐきの境目の溝の部分(歯肉溝)に棲みつきます。そこにどんどん細菌が増殖すると歯周ポケットが形成されて、歯肉の腫れを引き起こし、そのまま放っておくと歯槽骨まで破壊されてしまいます。

【体の免疫力】
免疫力を高めるために、歯周病に罹患し進行させないためにできることは次の通りです。

  1. 質の良い睡眠をとる。
  2. 適度な運動
  3. 腸内環境を整える。
  4. 笑顔は免疫を強化します。
  5. 正しいブラッシング、定期的なメインテナンス

【環境】
免疫力が低下すると、口の中の免疫作用が働きにくくなり、歯周病菌が増加します。また、免疫力を低下させる一因にストレルがあります。そのストレスによって食いしばりや歯ぎしりが起こることとなり、パワーバランスが崩れると歯がぐらついたり、割れたりして間接的に歯周病が進行することとなります。

ストレスを感じていると交感神経が優位になるため、唾液の分泌も少なくなります。そうなると、更に唾液による自浄作用が低下し、口腔内のプラークが蓄積することになります。また、ストレスを感じていると、タバコやお酒の量も増えることになるでしょう。そうなると、歯周病も悪化します。

急激な歯周病の進行

ハイパーレスポンダー

急激な歯周病の進行してしまう患者様は「ハイパーレスポンダー」とも呼ばれています。

ハイパーレスポンダーでは、歯周病菌が産生したリポ多糖(LPS)から始まる炎症性サイトカインの反応が過敏に進んでいきます。このハイパーレスポンダー由来の単球はLPSの量が低い段階でサイトカインを多量に放出する為、炎症が急激に進行し骨破壊に至ります。

ハイパーレスポンダーの患者様への対応

ハイパーレスポンダーは進行の早い歯周病に付けられる診断名である「侵襲性歯周炎」とほぼ言い換える事ができるものです。ハイパーレスポンダーの患者様への対応としては、歯周ポケットの除去で嫌気性菌を排除し治癒を目差します。

症例的な事例では、比較的に若い方で年齢の割には口腔状態が悪く、非常に炎症が強くて歯肉が極度に腫れている患者様がいらっしゃいました。歯周ポケットもかなり深くなっていましたが、徹底的な清掃と抗菌剤や歯周外科処置、事再生療法、しっかりとした歯磨き等でポケットをなくす事ができました。

それから18年経過、レントゲン写真を撮影してみましたが、術後当初の骨レベルとほぼ同一の骨レベルが維持されていました。

歯周病の進行を止める

歯周ポケットをなくす事が重要

ハイパーレスポンダーでも、治療によって歯周ポケットをなくすことができれば、歯周病の進行を止める事ができます。これは、ポケットをなくす事で、炎症反応を引き起こす嫌気性菌が生息できなくなる結果と考えられます。ハイパーレスポンダーの患者様でも、しっかりと治療とケアをすると効果が早く出るという事も近年明らかになってきました