歯科口腔外科

機能温存を希望される症例に対しての超選択的動注化学療法

    口腔は咀嚼や味覚だけでなく、栄養摂取にとっても重要な組織であり、また整容面においても機能温存が強く望まれる部位と言えます。

    外科的切除が治療の第一選択であることは先にも述べましたが、主に患者さんの職業により機能温存を希望されるケースも少なくありません。そのような症例に対して、超選択的動注化学療法(放射線照射を併用する場合としない場合があります)を施行する症例もあります。

    シスプラチンを主体とする超選択的動注化学療法は、進行口腔癌に対して行われる非外科療法として行われています。進行頭頸部癌(約1/3は切除不能症例)に対して本法を施行した結果、原発巣再発率5.6%、頸部再発率2.6%、遠隔転移率17.9%で、5年累積生存率は38.8%と外科的切除に匹敵する成績が得られました。現在では、先述の放射線治療の有害事象を回避し、QOLの向上を図るため、がん化学療法のみの動注治療も行われています。

    特に、進行してしまった上顎癌患者さんに対する外科的切除は、上顎骨の一部切除だけにとどまらず、時に眼球摘出手術が必要になる場合もあります。
    このような症例は、術後の整容面に対応が大変難しい場合もあり、患者さんご本はもとより、近親者の方々にも心労が大きく及ぶケースもあり、癌克服後の生活面においても、多方面からの理解と支援が必要とされる場合が少なくありません。

    本治療は外科的切除とのランダム化比較試験が行われていないので標準治療とはなりませんが、機能温存を望む口腔癌患者さんの治療の1つのオプションとしては期待できるものと思われます。

    武内 光晴

    武内 光晴

    恵比寿の歯科医院(歯医者)、武内デンタルクリニック 院長。

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