1. 大人の虫歯治療対策

6. 進行段階に応じた処置。根面う蝕は進行性か停止性かを見極めてから処置方針を決めます。

    根面う蝕は進行性か停止性かを見極める
    根面う蝕(根面虫歯)は、進行性か停止性かを見極めてから処置方針を決めます。進行性の場合は表面が軟らかく、患部は黄色から薄茶色、プラーク沈着がみられるものは、う蝕進行抑制剤を使用するか、レジンなどで充填します。

    進行段階に応じた処置は次のようになります。
    ①初期の状態:表面の削除(研磨、形態、修正)
    ②中等度の状態:修復処置(グラスアイオノマー、コンポジットレジン)
    ③進行した状態:必要に応じて歯髄処置、抜歯)

    停止の場合は、表面が硬く黒色で、すぐに処置をせずに経過を観察することが必要です。う蝕予防のエビデンスは、フッ化物応用とシーラントです。世界的な子どもう蝕の減少にはフッ化物配合歯磨剤の普及が大きく貢献したと考えます。

    成人についても、フッ化物応用物の効果が評価されており、成人でも子どもの場合と同様にフッ化物がう蝕予防に効果的と結論付けられています。

    また、う蝕予防にとって、歯磨剤のフッ化物濃度1.000ppm以上の高濃度ほど効果的とされ、根面う蝕予防と進行抑制には、フッ化物配合濃度が5.000ppmと高い方が効果的であると云う臨床試験報告もあります。日本では、1.000ppm以下と云う制限があり、根面う蝕を効果的に予防するには、場面に応じて予防歯科製品を使い分け、根面う蝕の予防効果を増強させることが得策と考えます。

    これらをまとめてみると、次のようになります。
    ①フッ化物とともに、根面う蝕の予防効果を増強させる添加剤を配合した歯磨剤を利用する。
    ②フッ化物配合歯磨剤の効果をより高める使用方法(少量洗口など)あるいは、ダブルブラッシング法(※1)を利用する。
    ③フッ化物配合歯磨剤使用後のの洗口にフッ化物洗口剤を用いる。
    ④就寝直前のブラッシング後に、フッ化物洗口剤で洗口し、再石灰化の促進に有効な口腔内のフッ化物濃度を長時間確保する。

    日々の生活に中に直ぐに取り入れることは、なかなか難しい部分もあるかと思いますが、まずは出来そうなところから実践してみるように心がけたいとこです。

    ※1フッ化物配合歯磨剤を用いてブラッシング後、十分に洗口し、次いでフッ化物配合歯磨剤で歯の表面に塗るように延ばし、洗口はごく軽くあるいは無洗口で済ませる方法。

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    武内 光晴

    武内 光晴

    武内デンタルクリニック 院長 歯科医師

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