歯厚生労働省は、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい人生を全うできる社会を目指す「地域包括ケアシステム」の構築を2025年を目標に推進しています。歯科医療の現場では、このシステムにどのように関わりどのような役割を担っていけばいいのでしょうか。
首都圏のベッドタウン、人口42万人の千葉県柏市は。2010(平成22)年に柏市・東京大学・独立行政法人都市再生機構(UR)が協定を締結し、「柏市豊四季台地域高齢化社会総合研究会」を立ち上げ、地域包括ケアシステム構築のモデル活動に取り組んでいます。
対象は高齢化率40%の市内のUR豊四季台団地。「高齢化社会の安心で豊かな暮らし方、町の有り方」の取り組みと成果さらに今後の活動と歯科の役割について見ていきましょう。
1964(昭和39)年に入居を開始したUR豊四季台団地の住民は約6000人。取り組みがスタートした当時の高齢者率は40%超と柏市の中でも突出していました。2010(平成22)年、URの団地立替え事業を機に、東京大学高齢社会総合研究機構と柏市の三者が協定を締結し、行政課題でもあった高齢化社会における新たなまちづくりをスタートさせました。
一般医療機関、歯科医療機関、介護施設などの多職種連携のための情報共有システムには約300の事業所が参加するなどの成果を得ました。5年後の2015(平成27)年、三者協定はさらに3年間延長されました。この延長期間を第二フェーズとして位置づけ、新たに「介護予防」「生活支援」の視点を加え、地域包括ケアシステムを具現化・構築する取り組みを行っています。
高齢化が進むなかで、市民の健康を支えるためには、医療職、介護職のご理解と協力が不可欠です。行政は多職種連携の事務局として機能し、研修会などを通じて在宅医療の推進・多職種連携の促進を後押ししながら、地域医療の接着材的な役割を担って頂ければ幸いと思っています。