歯科口腔外科

口腔がんは手術のみで対応できるほど容易ではない

    口腔がんの治療は手術のみで対応できるほど容易ではありません。おおよそ30~40%で頸部リンパ節転移を引き起こし、その1/3が遠隔転移を発症します。このような患者さんに施行される放射線治療・がん化学療法について述べたいと思います。

    (1)放射線治療
    放射線治療は口腔癌では、通常は早期の切除可能病変に対する機能温存の目的で実施されるか、もしくは外科的切除の再発・転移ハイリスク群患者に通常はがん化学療法と併用して施行されます。

    放射線治療は従来のリニアック(Linac)という照射方法から強度変調放射線治療(IMRT)へと大きな変革を遂げています。リニアックは日本語では「直線加速装置」と言われるもので荷電粒子を一直線上に当てることでがん治療を行います。従って、基本的には腫瘍に対して直角に照射(直行)、または向かい合って照射(対向)して脊髄への照射を最小限にする工夫を行っています。

    (2)IMRT
    対して、IMRTは専用おコンピューターを用いて腫瘍の形状を変化させたビームを複数用いて腫瘍の複雑な形態に合わせて放射線治療を行う新しい照射方法で、腫瘍に放射線を集中させ、周囲の正常組織への照射を減らすことができるため有害事象を増加させることがなく、より集中して放射線を腫瘍に照射することができるようになっています。

    現在、放射線治療は原則として単独で照射することは少なくなり、抗癌剤と併用しながら照射することが一般的となっています。さらに併用する抗癌剤は、白金製剤であるシスプラチンの方が分子標的薬であるセチキシマブ(商品名:アービタックス)に比べて口腔癌では有用であったとの解析結果が出たため、腎機能障害などの特別の支障がない限りシスプラチンを併用します。

    口腔癌を含めた頭頸部に発生するがんに対しての効用や、照射線量などにつきまして、次回以降に述べたいと思います。

    武内 光晴

    武内 光晴

    恵比寿の歯科医院(歯医者)、武内デンタルクリニック 院長。

    関連記事