一口に虫歯といっても様々

あまり知られていない虫歯治療

よくある虫歯治療の誤解

見た目は小さい虫歯でも・・・

歯の構造は、表面がエナメル質、その内部が象牙質と言う2層構造になっており、象牙質の中には神経組織としての(歯髄)があります。

エナメル質を超えて象牙質に入った虫歯は、エナメル質と象牙質の境目でラッパ状に広がります。これが虫歯の特徴の1つで、入り口が小さくても中で虫歯が広がっている理由の1つです。

虫歯と言うのは、表面から始まる虫歯でも、横から始まる虫歯でもどんなタイプの虫歯でも、その進行方向は歯の内部にある神経組織(歯髄)のある方向に向かって進んでいきます。見た目は小さくても深く進攻した虫歯(歯の内部で広がっている虫歯)の治療が「小さい虫歯」で歯医者へ行ったら「大きく削られた」と言う誤解が生じる根源と言える現象です。

最も大事な事は「虫歯の取り残しがない」事

「虫歯の取り残し」を起こさない

近年では歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用しての治療が盛んに行われています。

確かに、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いて拡大した状況下で虫歯を除去していく事は大変有意義な事と思います。しかし、あまりにも拡大率が大きすぎると、虫歯の全体像をつかみにくくなる事もあります。

そこで当院では、まず第一段階として、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)の使用前に拡大鏡(ルーペ)をかけての治療が非常に有効であると考えています。

確実に虫歯部分を取り除く為に

2種類の歯科用拡大鏡の使用
拡大鏡(ルーペ)も、ただ単に倍率が高ければ良いというわけではなく、先にも述べましたように、虫歯の広がりなどの全体像を把握する事がまず第一段階となりますので、最初からあまり高倍率を使う治療はお勧めできません。細部に見落としが無いようにする為に、まず倍率2.5倍のルーペを用いてウ蝕(虫歯)の全体像を把握した後、倍率4.3もしくは5.0倍を使用して治療を進めていきます。

2種類のウ蝕検知液を使用
ウ蝕(虫歯)層には感染層(ウ蝕象牙質第1層)と無菌層(ウ蝕象牙質第2層)が存在します。その識別に必要不可欠な薬剤がプロピレングリコールを主成分とする赤色とポリプロピレングリコールを主成分とする青色の2種類です。当院では、この2種類の薬剤を複数回にわたり1歯のウ蝕除去に常時使用し、最小限度の切削と可及的な歯質保存を基本としています。

タングステンカーバイドバーによるウ蝕除去
一般的にはスチールバー(炭素鋼製)が用いられることが多く、コスト面からもリーズナブルな製品です。当院では、高い切削能力により良好な切削面が得られるので、滑らかに仕上がり充填物が詰めやすくなります。タングステン製のため、十分な耐久性も兼ね備えているのでカーバイドバーを常用しています。

さらに大事なこと

治療の進行に合わせて、その治療状況や内容が患者様にもよく分かるように画像の提供も必要と当院では考えています。

治療のポイントになるような時点では、複数枚の画像を撮影し、治療行為を一旦止め、状況を丁寧に説明する事が治療に対するご理解を頂く上で重要と思っています。