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2. 手術支援ツールとして3D造形モデルが大活躍を始めてきました。

    手術支援ツールとしての3D造形モデルとは
    3D造形モデルとは、UV(紫外線)硬化性樹脂を噴射し、UVランプで硬化させながら積層するという仕組みで出来上がる模型の一種です。硬質な透明樹脂からラバーライクなモデル材料まで対応し、特性の異なる複数のモデル材料で同時に2種類の3次元造形モデルを作製できます。

    このような性質を持つ3Dプリンタの臨床応用としては、まず義歯の作製が挙げられます。また、金属加工できれば義歯のフレームや補綴物の作製も可能になるため、金属加工できる3Dプリンタを大阪大学工学部と東京歯科大学が共同研究を行い、作製した義歯のフレームや補綴物の臨床試験を行っています。

    さらに威力を発揮するのが手術支援です。3Dプリンタで作製した3次元造形モデルで表面から見えない血管や神経などの解剖学的構造物の位置、あるいは顎関節、埋伏歯、腫瘍などの治療対象物の状態を把握できるメリットがあります。

    しかし、コンピューター上で立体的に見える3次元画像だと、経験に乏しい施術者では十分にイメージできず、正確に把握できないなどの限界も見られます。そこで、口腔状態を再現した3次元造形モデルを3Dプリンタで作製し、それを元に安全で確実な手術方法を検討することができるようになります。

    例えば、顎骨にできた腫瘍切除施術において、その腫瘍の広がりや残っている正常組織の状態などを正確に把握することができ、なおかつ共通認識に基づいた話し合いを手術に関わる口腔外科・放射線科・解剖学講座のチーム全員で行えるようになるため、必要最小限の手術法を検討することにつながっていきます。

    必要最小限の手術であれば術後の回復も早く、必要なリハビリも早期に開始できることになり、退院・社会復帰も早くなることにつなっがていき、患者さんにとっておおきなアドバンテージになるものと思います。

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    武内 光晴

    武内 光晴

    武内デンタルクリニック 院長 歯科医師

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